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episode.4

動物と触れ合いたい人にも家族に迎えたい人にもオススメ 東京で保護犬・保護猫に出会える場所

2022.11.30

犬猫と人との関わりは、時代と共に変化してきました。日本の中でも特に東京は、江戸時代に「生類憐(あわれ)みの令」が出されるなど、古くから犬猫を大切にしてきた都市でもあります。何より保護犬・保護猫に関しては、その認知拡大や、譲渡先探しにもいち早く取り組んできました。

そこでepisode.4は、東京都による保護犬・保護猫活動の歴史や内容を解説します。さらに、最先端都市・東京らしい取り組みをしている、保護犬カフェ、保護猫カフェを厳選。とっておきのスポットとして紹介していきます。

保護犬・保護猫を知っていますか?

「保護犬・保護猫」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。さまざまな事情で保護された飼い主のいない犬や猫のことを総称して「保護犬・保護猫」と呼びます。

飼い主に捨てられてしまった、迷子になってしまった、災害などで居場所を失ってしまった……などはもちろん、ブリーダー崩壊、多頭飼育崩壊などで劣悪な環境にいた犬猫たちがレスキューされる場合もあります。

では東京都は、その保護犬・保護猫に関して、どんな活動を行っているのでしょうか。東京都福祉保健局の動物愛護管理専門課長にお話を伺いました。

「東京都は、保護犬・保護猫の認知を拡大し、さらにその譲渡先を探す取り組みを行っています。まず譲渡に関しては、1980年に『東京都動物の愛護及び管理に関する条例』が施行され、そこから保護犬猫の譲渡が正式に始まりました。それまでも行ってはいたのですが、条例化されたのがこの年。同時に保護犬・保護猫の普及啓発もスタートさせることになったのです。

認知の拡大に関しても以前から行っていましたが、最近のこととして、2016年には『殺処分ゼロ』を掲げ、2018年に達成し、その後も継続中です。同じく2016年、東京都は独自に毎年11月を『動物譲渡促進月間』に設定しました。さらに2017年には、育成が難しい離乳前の子猫のミルクボランティアをスタート。続いて2018年には、負傷動物を保護して譲渡するため、ボランティアに対し、負傷した動物を保護するための道具(ペットシート、フードなど)の提供を始めています。

東京都の動物情報サイト『ワンニャンとうきょう』で、都や、都に登録している団体の動物愛護活動を紹介し、譲渡会情報も掲載しているので、ぜひチェックしてみてください」

保護犬・保護猫への理解を深めたところで気になるのが、どこに行けば出会えるのか、ということ。譲渡会に参加するというアプローチもありますが、もう少し気軽に触れ合いたいと思ったなら、「保護犬カフェ」「保護猫カフェ」に足を運ぶという選択肢もあります。そこで東京の中でも、丁寧で、実直で、温かな取り組みを行っているカフェを徹底リサーチ。厳選した3軒を紹介します。

動物病院に隣接 保護猫に出会える「しらさぎカフェ」

しらさぎカフェ

まず1軒目に紹介するのは、動物病院が運営する、譲渡先募集を目的とした保護猫カフェ「しらさぎカフェ」です。西武新宿線鷺ノ宮駅から徒歩で7分ほどの閑静な住宅街に「しらさぎ動物病院」があり、その裏手に回ると「しらさぎカフェ」の入り口があります。

「小さな頃から動物を救う仕事に携わりたいと考えてきました。この病院で日々動物と向き合いながらも、ここに来院する子たち以外の命も救いたい。そういう思いで始まったのがこの『しらさぎカフェ』です。

副院長の常安先生とテラくん

ボランティアさんと連携を取りながら、うちは動物病院が運営しているカフェなのでケガをしていたり、風邪をひいたりしている動物たちを積極的に受け入れています。しっかり治療して、元気になった子たちの譲渡先を探していく。そこに使命を感じているのです」。そう語るのは、副院長の常安有希先生。

病院と隣接する壁に設計されたケージに保護猫たちがいるので、カフェ側からも病院側からも猫たちの様子が見られる。左から、かのこちゃんとしぐれくん

譲渡を希望する人には、まずは触れ合いながら相性を見てもらい、さらに面談をしながら決めていくという流れ。何より家族として迎え入れたあと、頼れる動物病院があるのは安心材料のひとつ。まずは猫に触れたいという人も快く受け入れているので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

後ろ脚をケガして保護されたテラ君はとても人懐っこい。看板猫になるかも!?

しらさぎカフェ

東京都中野区白鷺2-33-8
電話:03-3330-5411
https://www.shirasagi-ah.com/cafe/
カフェメニュー:コーヒー(クッキー付き)520円など

シニア猫が集う「オープンシェルター 神田神保町byちよだニャンとなる会」

オープンシェルター 神田神保町byちよだニャンとなる会

さて、2軒目は、猫の殺処分ゼロを全国に先駆けて実現した千代田区にある「オープンシェルター 神田神保町byちよだニャンとなる会」を紹介しましょう。場所は、半蔵門線神保町駅と東西線九段下駅のちょうど中間、路地を入ったビルの4階にあります。こちらの特徴は、老猫ホームとホスピスを併設しているということ。

このシェルターを運営する一般財団法人「ちよだニャンとなる会」副代表の古川尚美さんは、こう話します。

「日本人は、小さくて可愛いものをめでるという特性があって、譲渡会などでも子猫から引き取られることが多いんですよね。もちろんそれはそれでいいことなのですが、海外では、成猫から先に引き取られていきます。そのメリットは、幼少期とは違って体調が安定しているということ、そしてキャラクターがはっきりしているということ。ご自身の生活環境や性格を考えて、ぜひ成猫や老猫と暮らし始めることも視野に入れていただきたいな、と思いますね。

成猫や老猫をお迎えする人が増えるということは、私たちのような活動をしている団体やボランティアが安心して、もっと成猫や老猫をレスキューできることにつながるのです」

副代表の古川さんとひざの上に乗ろうかなと考え中のカリントちゃん(推定7歳)

インテリアは、獣医師のアドバイスにより設計されたもので、猫たちの階段あり、小さな2階スペースあり、身を隠すボックスあり……という工夫をこらした空間に。

小部屋の壁面をアール状にカーブさせているのは、認知症を患った猫がぐるぐると徘徊(はいかい)したときに、体をぶつけてしまうことのないようにという配慮からだそう。キャットファーストにつくられているのに、私たち人間もリラックスしてしまう……そんな空間なのです。

左上から、快適に過ごせるように設計されたインテリアは猫たちに大人気、お華ちゃん(推定15歳)にも好評。遊ぶの大好きコットンちゃん(推定3歳)はソファの下から。猫がちょっと苦手なステラちゃん(推定15歳)はアール状の小部屋に設置されたケージに。取材中にひざの上をゲットしてご満悦なカリントちゃん
日なたぼっこがマイブームのアトム君(推定3歳)

オープンシェルター 神田神保町byちよだニャンとなる会

東京都千代田区神田神保町2-38-10 多幸ビル4階
電話:070-8957-5840
https://www.chiyoda-hogonekocafe.com/
ドリンクの提供、入館料はなし、最長利用30分まで
※高校生以下は保護者の同伴が必要
※入館時は靴下を着用(可愛い猫柄靴下を300円で購入可能)
※飲酒後の利用は不可。また猫の感染症対策の観点から、他の猫カフェやペットショップに立ち寄られた方の来館不可

カフェ空間でゆっくり保護犬を見られる「犬猫食堂 紫陽花」

犬猫食堂 紫陽花の店内。撮影時に特別にこちらへ来てくれたのは保護犬のペルルちゃん

最後に紹介するのは、東急東横線祐天寺駅から徒歩15分ほど、閑静な住宅街にある「犬猫食堂 紫陽花」です。実は、保護猫カフェは多くあるものの、保護犬カフェは数が少ないのが現状。なかでもこちらは、ドッグホテルやドッグスクールも運営している本格的カフェ。飲み物をいただきながら、ガラス越しに保護犬たちを見ることができます。

「カフェをやりながら保護犬・保護猫の預かりボランティアをしていたのですが、もっと犬のことを本格的に学びたくなり、私自身、学校へ通うことを決意しました。すると、もっとしっかりした形態で犬猫と接したくなって、自然とホテルやスクールを併設するまでになったのです。

店主の新妻さんと看板犬のセルジュちゃん

犬を飼いたい、それも保護犬を受け入れたい。そう考える人は多いと思うのですが、保護団体さんのウェブサイトなどで写真を眺めているだけでは、どんな子なのかよくわかりませんよね。そうこうしているうちに、ペットショップで購入してしまった……そんな話を聞くこともあって。ならば預かりボランティアをしながら、カフェのお客さまがその子たちを見ることができれば、受け入れのイメージがしやすくなるかもと考えたんです。

動物を飼うのならば、ぜひ保護犬から迎え入れてほしい。もし条件が合わなくても、粘り強く探すことで、必ず運命の子と出会うことができるはずですよ」。店主の新妻美法さんはそう語ってくれました。

紫陽花の店内写真に写っているベルルちゃんの子犬たちは、好奇心旺盛で元気いっぱい! お散歩から帰ったきたノエルちゃんはおやつ待ち

犬猫食堂 紫陽花

東京都世田谷区下馬1-25-16
電話:03-3419-1456
https://inuneko-ajisai.com/
カフェメニュー:コーヒー550円など

保護犬・保護猫を家族に迎えたいと本気で考えている人はもちろん、まずは知りたいと考えている人もぜひこの3軒に足を運んでみてはいかがでしょうか。

※価格は全て税込み価格です。

(文・本庄真穂/撮影・鵜川真由子)

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