【柴犬】国の天然記念物にも指定された代表的な日本犬 飼いやすく、飼い主に従順 

 人気犬種の特徴や性格、しつけ、お手入れ、飼い方、健康上の注意などを解説する犬種図鑑。今回は、国の天然記念物でもあり、代表的な日本犬として外国でも人気の「柴犬」です。(出典:学研プラス「まるごとわかる犬種大図鑑」、若山正之獣医師監修)

がっちりした柴犬

柴犬は他人を警戒 運動量多く、毎日遊べる環境が必要

 縄文時代から日本人とともに生き、1936年には国の天然記念物にも指定された柴は、日本を代表する犬種といえます。この犬の最大の特長は、飼い主の命令に対して従順に従おうとする献身的な性質。信頼する飼い主の指示ならば、いかなることにも忍耐強く取り組みます。

 一方、リラックスした時間は、飼い主や家族のそばに寄り添い、愛情深く接してくれます。こうした従順でいじらしい姿が、日本のみならず世界中で人気を博している理由です。

 その一方、飼い主に対する服従心が強過ぎるあまり、ほかの人を強く警戒する傾向があります。攻撃的になることは少ないのですが、初対面の相手に心を許すことはなく、少しそっけない印象を受けます。子犬の頃から社会性を身につける訓練を行い、見知らぬ人や動物に対して警戒し過ぎないようにしつけましょう。

賢そうな表情をする柴犬

 飼育の際に注意すべき点は、毎日豊富な運動を求められること。分類は小型犬ですが、持久力にすぐれ、中型犬並みの運動量を必要とします。毎日の散歩に加え、ボール遊びを取り入れたり、安全な場所で自由に遊ばせたりしましょう。頭のよさを活かして、ドッグスポーツに挑戦することもお勧めです。

 短毛なので、お手入れは比較的簡単。毎日軽くブラッシングをするくらいで十分です。ただし、換毛期には大量に毛が抜けるので、この時期は念入りなブラッシングを。抜け毛を放置すると皮膚病の原因になってしまいます。

 日々の運動と換毛期のお手入れさえクリアできれば、初心者でも飼いやすい犬と言えます。日本で生まれ育った犬なので、日本の風土に適していることも、飼育の上で大きなポイントになります。

黒柴

柴犬の成犬の大きさ

  • 原産国 日本
  • 体高35~41cm
  • 体重7~14kg

柴犬の5段階評価

  • 飼いやすさ ★★★★
  • 必要な運動量 ★★★★
  • トレーニングのしやすさ ★★★
  • 寒さに強い ★★★★
  • 状況判断力 ★★★

柴犬の子犬

柴犬の身体的特徴 がっしりした体に硬い被毛

【頭部】

 前頭部が幅広く、額に浅い溝があります。マズルは根本ががっしりと太く、先細りした形状。その先に黒くて大きな鼻がついています。耳は少し小さめの三角形でわずかな前傾が特長です。

【被毛】

 硬くてまっすぐな上毛と、わらかい下毛のダブルコート。毛色は赤、黒褐色、胡麻など。マズルの両側やアゴと首の下側などが白くなっている「裏白」と言われる配色が特長です。

【しっぽ】

 体格と同様に、太くて力強いしっぽです。つけ根の位置が高く、背中の上でくるりと巻かれるか、鎌のように湾曲しています。下に垂らすと、うしろ足の関節くらいまでの長さがあります。

【体型】

 たくましく、がっしりとしたボディをしています。とくに首周りや四肢が太く、たくましい印象。胸周りはアバラがほどよく張って筋肉量が豊富。おなか周りは引き締まっています。

日本犬の代表格、柴犬

【健康上の注意点】柴犬は白内障など目の疾患が起きやすい

 人気犬種ですが、過剰な人工交配によって生じる先天性異常はほとんどありません(豆柴は情報が不十分なため、遺伝的問題は不明)。ただし、膝関節の脱臼はよく見られます。白内障も比較的多く、先天性の場合や、老化によって発症する場合があります。さらにアレルギーや感染症から角膜炎を併発することも。子犬は寒さに弱いので、病気を防ぐために毛布やヒーターで保温しましょう。

◇柴犬のかかりやすい病気

反射性吐出/膝蓋骨の脱臼/ブドウ膜皮膚症候群/アレルギー

モコモコな柴犬の子犬

柴犬は飼い主に忠実でしつけやすい

 飼い主の指示を忠実に守ろうとする、利口な犬種です。初心者でもしつけやすく、基本的な訓練はすぐに身につけられます。一方、警戒心が強いので、家族にしか接触しない環境で育てると、見知らぬ人や動物が苦手になってしまいます。社会性を身につける訓練を行いましょう。

柴犬のルーツは南方、縄文時代に日本にやってきた?

 縄文時代以前に南方から来た犬と言われています。日本海に面する山岳地帯に生息し、鳥や小動物の猟に使われていました。明治時代になると外来犬との交配が進み、純血種の数が減少。昭和になって、ハンターや知識人の手によって純粋な血統を守る運動が起こりました。

日本犬の代表格、柴犬

柴犬のこぼれ話

◇林の中を駆け回っていたから「柴」?

 「柴」には雑木という意味があるので、「柴(雑木)の間をくぐり抜けながら鳥や小動物の猟をしていたため」という説や、「被毛の色が、枯れた柴のような赤い色をしているため」に柴(犬)と名づけられたという説があります。かつて山岳地帯で猟をしていたことから、この2つの説が有力視されています。

 一方、これとは別に、「小さなもの」を表す古語に「シバ」という言葉があることから、これが由来になったのではないかという説もあり、正確な由来はよくわかっていません。

◇「豆柴」は小さな柴犬の通称で、非公認の犬種

 最近、「豆柴」が話題になっています。コロコロとした小さな体は、思わず目を細めてしまうかわいさです。しかし、日本国内の多くの登録機関では、「豆柴」は非公認の犬種。一般的に豆柴とは、小さな柴の通称であることを覚えておきましょう。

 豆柴については、「極端に小さな体なので、健康上の問題がある」という説と、「元来の柴に近いものだから問題はない」とする説が二分する、難しい問題があります。豆柴を飼う場合は、こうした事実を頭に入れておくとよいでしょう。

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「まるごとわかる犬種大図鑑」
監修:若山正之/写真:藤原尚太郎
発行:学研プラス
判型:A5、242ページ
定価:1500円+税
監修:若山正之
獣医師。若山動物病院(千葉県佐倉市)院長。犬や猫のヘルススパンを延ばす的確な診断とアドバイスに定評があり、寝たきりや認知症になった犬の介護などに、独自のノウハウを持つ。

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