【ポメラニアン】かわいい外見だけど勇敢な小型犬 首にたてがみのようなモフモフの毛

 人気犬種の特徴や性格、しつけ、お手入れ、飼い方、健康上の注意などを解説する犬種図鑑。今回は、かわいい外見に似合わず勇敢で元気な小型犬「ポメラニアン」です。(出典:学研プラス「まるごとわかる犬種大図鑑」、若山正之獣医師監修)

かわいらしい小型犬ポメラニアン
かわいらしい小型犬ポメラニアン

ポメラニアンはしつけないと、誰にでも吠える犬に

 頭の周りにライオンのようなたてがみ状の被毛が見られる小型犬です。コンパニオンドッグとして世界中で有名な犬ですが、元々は、かなり大型の犬だったと言われています。そのため、かわいらしい外見に似合わず、勇敢な気質を持ち合わせています。

 また、警戒心がとても強いので、小さな物音にも反応して激しく吠え、飼い主に危険を知らせようとします。そのため、番犬としては大変優秀なのですが、しつけをしっかりしないと誰にでも吠えるようになってしまいます。集合住宅で飼う場合は注意しましょう。

屋外で遊ぶ小型犬ポメラニアン
屋外で遊ぶ小型犬ポメラニアン

 北方のソリ犬であるサモエドが作出に関わっているため、比較的寒さに強い犬です。ダブルコートの豊富な被毛が、厳しい冬の寒さから身を守ります。

 一方、暑さは大の苦手。夏場に外で飼うことは危険なので、エアコンの効いた室内で飼育するとよいでしょう。また、豊富な被毛はお手入れの手間がかかります。細くてからまりやすい毛質なので、毎日のブラッシングで毛玉を防ぎましょう。とくに年2回の換毛期には下毛が大量に抜けるので、この時期のブラッシングは念入りに。

 この犬は比較的頑丈で、寿命が長い犬といわれています。運動と食事に気を使えば、健康上のトラブルを抱えることが少ないといわれていますが、実際に飼育する場合は、2点ほど注意しておくことがあります。

 ひとつめは、骨が弱いこと。ちょっとした段差から飛び降りただけで骨折してしまうことがあります。2つめは、歯の病気になりやすいこと。早い段階で歯が抜け落ちてしまい、食事を充分にとれなくなり、老化が進行することがあります。歯によいフードを与え、定期的なメンテナンスを心がけましょう。

ポメラニアンの子犬
ポメラニアンの子犬

ポメラニアンの成犬の大きさ

  • 原産国 ドイツ
  • 体高 18~22cm
  • 体重 1.5~3kg

ポメラニアンの5段階評価

  • 飼いやすさ ★★★
  • 必要な運動量 ★
  • トレーニングのしやすさ ★★
  • 寒さに強い ★★★
  • 状況判断力 ★★

ふわふわの小型犬ポメラニアン
ふわふわの小型犬ポメラニアン

ポメラニアンの身体的特徴、豊かな被毛とカールしたしっぽ

【頭部】

 頭はV字型で、広い額は、やや突き出ています。マズルは短めで先がとがった形状。鼻の色は黒がよいとされています。目はアーモンドの形。耳は小さな三角形で直立しています。

【被毛】

 やわらかく豊富な下毛と、放射状の長毛のダブルコート。首周辺はたてがみ状で、しっぽと四肢のうしろには豊かな飾り毛が生えています。毛色はオレンジやクリームが中心です。

【しっぽ】

 かなり高い位置から生えていて、背中に向かって軽くカールしています。しっぽも綿状の被毛に覆われているので、ボンボンを背中に背負っているように見えることが特徴です。

【体形】

 被毛に隠れて、体のラインが見えにくい犬ですが、全身がほどよく引き締まった体つき。一方、骨の強度が弱い傾向があります。前足の長さがほどよく、全体のバランスをとっています。

ポメラニアンの子犬
ポメラニアンの子犬

【健康上の注意】ポメラニアンは頭への衝撃に弱く、脱毛や皮膚の黒ずみも

 頭頂骨が開いていることは、小型犬に共通する問題。頭部への衝撃に気をつけましょう。ほかにも、膝関節の脱臼や、脳脊髄液の量のバランスがくずれる水頭症、呼吸困難状態に陥る気管虚脱などに注意。また、この犬種はホルモンを作る酵素が先天的に欠けていることがあり、毛が抜けたり、皮膚が黒くなったりします。オスは前立腺の病気、メスは子宮内膜症になりやすい傾向もあります。

◇ポメラニアンのかかりやすい病気

頭蓋破裂/歯突起の形成不全/動脈管開存症/低血糖症/膝蓋骨・肩甲関節の脱臼/気管虚脱/睾丸虚脱(オス)/進行性網膜萎縮/流涙症/ホルモン障害(脱毛)

モフモフの小型犬ポメラニアン
モフモフの小型犬ポメラニアン

ポメラニアンは音に反応して吠えるので、しつけが必要

 警戒心が強く、音に反応してよく吠える傾向があります。興奮しないように、子犬の頃からしっかりとしつけるとともに、さまざまなことを経験させ、落ち着きのある犬に育てるようにしましょう。また、咬みぐせが出ることもあるので、甘咬みは早いうちにやめさせましょう。

ポメラニアンのルーツは羊を守る大きな犬だった

 北方スピッツ系のサモエドを祖先に持ち、外敵からヒツジを守る役割をしていました。その後、ドイツのポメラニア地方で小型化され、現在の形に近づいたとされています。18世紀にイギリスのヴィクトリア女王が飼い始めたことで、イギリスで大人気の犬種となりました。

大きな目のポメラニアン
大きな目のポメラニアン

ポメラニアンのこぼれ話

◇24歳まで生きたポメラニアン

 ポメラニアンの平均寿命は比較的長く、12歳から16歳くらいとされています。一方、それをはるかに超え、20歳くらいまで長生きするケースもめずらしくありません。ドイツでは、24歳まで生きたポメラニアンの記録が残っています。これは人間の年齢に当てはめると、ゆうに100歳を超える年齢。

 このポメラニアンは上流階級の家で飼われていたため、食事は質の高い牛肉とビスケットが与えられていました。また、被毛は毎日丁寧にブラッシングされ、美しく保たれていたといいます。

◇中型犬だったポメラニアンの祖先を描いた絵画

 18世紀に活躍したイギリスの画家トマス・ゲインズバラが描いた『ウィリアム・ハレット夫妻の肖像』には、飼い主を従順なまなざしで見つめる犬が描かれています。体高は人のヒザくらいの高さの中型犬。外見はスピッツに似ていますが、この犬がポメラニアンの祖先犬ではないかと言われています。

 19世紀に小型犬が流行したことで、この祖先犬を小さくする改良が行われ、さらにアメリカに渡って家庭犬として人気が出ると小型化に拍車がかかり、現在の姿になったと考えられています。

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「まるごとわかる犬種大図鑑」
監修:若山正之/写真:藤原尚太郎
発行:学研プラス
判型:A5、242ページ
定価:1500円+税
監修:若山正之
獣医師。若山動物病院(千葉県佐倉市)院長。犬や猫のヘルススパンを延ばす的確な診断とアドバイスに定評があり、寝たきりや認知症になった犬の介護などに、独自のノウハウを持つ。

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