イヌ・ネコの健康医療相談

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みい(質問主)


犬アイコン 犬 7歳 メス トイ・マンチェスター・テリア

体重:3.4kg

飼育歴:7年2ヶ月

居住地:秋田県大館市

飼育環境:室内

2019年夏低血糖が見つかり、精査でインスリン様成長因子産生の高文化型肝細胞癌と診断され手術、その後高血糖になりインスリン開始、2020年1月には胆嚢粘液嚢腫による胆嚢炎で胆嚢摘出を受けています。現在元気で食欲もありますが、インシュリンの量がどんどん増え、ノボリンN6単位一日2回朝夕で食後2時間〜5時間の血糖が500台 フルクトサミンが450前後とコントロール不良です。(体重 3.4kg)肝機能もALT200. ALP600台と高目です。
私が人間の内科医なので、他のインシュリン製剤(ランタスや超速攻型)など種類を変更してみてはどうか、他に方法はないのか?と思うのですが、犬ではどうでしょうか?(もし可能なら切り替え方も教えてください)
田舎の実家で飼っており老母がインシュリン を打っているため血糖測定まではできません。獣医さんで血液検査を行なっています。

日時2020-07-04 18:21:55

専門の獣医師からの回答

まず,高分化型の肝細胞(HCC)は,人と異なり,手術により良好な予後が得られることの多い,犬でもっとも多い肝臓腫瘍です。インシュリン様成長因子産生HCCは稀なタイプですが,完全切除ができれば予後に違いはありません。

HCC摘出後に糖尿病を発症し,ノボリンNでのコントロールが上手くいかないとのことですが,一貫して高血糖であれば,インシュリンの投与量を増やせばよいだけのことかと思います。インシュリンの投与量の決定は,必要により数日間の入院下で,注射後2~3時間毎に採血して血糖曲線を調べてもらうのが一般的です。

なお,自宅での低血糖の心配に対しては,尿試験紙を利用して尿糖を±になるようにインシュリン投与量を調節するといった古典的方法もあります。インシュリンの種類ですが超速効型はケトアシドーシスの治療時にはしばしば使用しますが,糖尿病の犬の日常的な血糖値コントロールに使うことはほとんどありません。犬で1日2回のインシュリン注射が可能な場合には,ノボリンNでのコントロールはそれほど難しくないはずです。

もし,インシュリンの効果が不安定と思われる場合は,血糖値上昇に関与する別の異常もチェックしておく必要があります。血糖値のコントロール不良の要因として,未避妊であれば発情周期により,血糖値のコントロールが難しくなることがあります。一般的には発情期に高血糖が悪化します。
また,インシュリン抵抗性の犬で,必ずチェックすべき疾患として,副腎皮質機能亢進症があります。
副腎皮質ホルモンの投与や高コルチゾール血症を引き起こす副腎皮質機能亢進症が存在すれば,血糖値を上昇させやすくなります。
犬の副腎皮質機能亢進症は,下垂体性が85%でホルモン産生性の副腎腫瘍(副腎皮質腺腫または腺癌)が15%です。診断はACTH負荷試験,内因性ACTH測定,および超音波検査による副腎サイズと形態チェックにより行われます。

参考までにHCCの犬の25%で内分泌性疾患の併発が認められたとする報告もあります。
また,胆嚢粘液嚢腫(GM)や胆嚢炎の発生とも関連があり,副腎皮質機能亢進症の犬では29倍GMの発生率が高かったとする報告があります。
その他,犬において副腎皮質モルモンは,人と異なり,ALPの産生を誘導する作用があり,副腎皮質ホルモン投与時や副腎皮質機能亢進症の犬ではALPの上昇が高頻度に認められます。

まずは,副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下あるいは未避妊などの内分泌に関連する問題がないかどうかをチェックした上で,主治医の先生にお願いして,何日かかけてインシュリンの投与量を決定して頂くのがよいのではないでしょうか。

日時2020-07-06 09:26:36

 
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