「パグの振り見て、我が振り直せ」が信条 そしたら、世界がとんでもなく広がった!

 最初に決まったのは、名前だった。

「いつかは犬と暮らしたいねと妻と話している中で、名前は『だいきち』にしようということになって」とお父さん。最初は名前のイメージから柴犬も考えたが、大好きな漫画「宇宙兄弟」の登場ワンコ、アポがパグだったことから、パグを探し始めた。

 ペットショップのサイトをのぞいた時、まさに「だいきち」の風情漂うパグの子犬を見つけた。近所の店で対面した子犬は、しかし、どこかやさぐれていた。

「もう月齢6カ月を過ぎていて、結構大きくなっていた。どうやら売れ残っていくつかの店を転々としていたらしく、背中に哀愁を漂わせていました(笑)」(お父さん)

パグ「だいきちくん」
初対面のときの、やさぐれた子犬時代のだいきちくん

 そんな姿もまた「だいきち」っぽいと胸を射抜かれ、お迎えすることに。今から3年半ほど前のことだ。「誰ともかぶらないように」と、だいきちくんは「だいきち・ファンク・ジュニア」と、プロレスラー風のミドルネームが輝くかっこいい名前を授けられた。

一生懸命で、どんくさくて、愛おしい!

 おっとりとした性格で、お散歩や公園で会うワンコたちにもフレンドリー。

「社会化のために特別なことは何もしなかった。でもまったく問題なくいろんな子と遊べました」

 ほとんど手はかからないが、家の中では「別の顔」を見せることも。テレビに犬が映ると、画面に向かってものすごい勢いで吠えまくるのだ。

「番犬のつもりみたい。で、さんざん吠えると『追っ払ってやったよ!』とばかりに誇らしげな顔で報告に来る」とお父さんは笑う。犬が登場するCMを覚えてしまい、その場面が映る前にワンワン大騒ぎするので「すっかりテレビが見られなくなりました(笑)」。

 そんな勇敢(?)な一面があるものの、「基本的にどんくさい。それがかわいい」とお父さん。ドッグランでだいきちくん自身は全力疾走しているつもりが、なんだか遅い。

パグ「だいきちくん」
ハードルは飛ばずに、ポージング(笑)。アジリティは苦手だとか

 カートで移動中に大好きなパン屋さんの前を通ったら、フックがついているにもかかわらずいい香りに誘われ思わず飛び出し、宙ぶらりんになったことも。一生懸命、なのにちょっと抜けている。そこがなんとも愛おしい。

パグで世界がつながっていく

 そんなだいきちくんを通じワン友が増え、休みの日もドッグランなどに出かけることが多くなった。

 人懐っこく愛嬌のあるだいきちくんに声をかけてくれる人も多く、「ご近所の方々や、小学生の子どもたちとも言葉を交わすように。誰にでも壁を作らず接するだいきちに引っ張られながら、まさに『パグの振り見て、我が振り直せ』。僕らもいろんな人たちと交流するようになっていった。だいきちに学ぶことは多いですね」とお父さん。

 さらに世界は広がっていく。

 世の中にワンコグッズはあまたあるが、お父さんとお母さんが「ほしい」と思えるものは少なかった。たとえば洋服。デザインが好みじゃないことはもちろん、パグの体型にジャストフィットする服がなかなか見つからない。

 そこでお母さんは、犬の洋服作りの勉強をして資格を取得。だいきちくんに似合う洋服を手がけるように。それがパグ仲間から「かわいい!」「うちの子もほしい!」と大反響を呼ぶ。

パグ「だいきちくん」
「Pug&Peace」初期の一枚。オシャレ!

 パグのイラストがついたグッズも「好きなものが世の中になくて」とお父さん。タブレットでなんとなくだいきちくんのイラストを描き始めると、それも大好評!

 オンラインサイト「Pug&Peace(パグ&ピース)」を立ち上げ、さまざまな情報発信に加え、パグ服やイラストグッズの販売を始めた。

「まさか自分でイラストを描いたり、ましてやそれが売れたりなんて、考えたこともなかった。人生何が起こるかわかりませんね(笑)」(お父さん)

 ドッグランなどでは、小型犬ゾーンでは体の小さい子たちに吠えられ、大型犬ゾーンに行くと体格差にビビってしまうというだいきちくん。パグ同士で遊ぶのが一番楽しそう。同じように感じているパグファミリーは少なくなく、じゃあパグだけで集まろう!と、年に数回、3~40匹、パグだけパグだらけのイベントを催すように。

パグフェスの模様
パグフェスにはこんなに大勢の仲間たちが集合!

 さらに2019年の夏には、パグとパグラバーズのための祭典「パグフェス」を山梨県山中湖で開催。なんと120匹以上のパグとその家族が一堂に会し、かけっこレースやかぶりもの撮影会などを楽しんだ。

「パグって吠える子がほとんどいないし、パグ同士だと楽しいみたいで、本当にピースフルな空間でした」。パグ好きという共通項はあるものの、その家族は住んでいるところも職業も年齢もバラバラ。

「普通に暮らしていたら友達になれないような人ともつながることができた。財産です」

 パグ愛、だいきちくん愛があふれたお父さん、去年の秋にあった「パグレボ」というイベントに合わせて歌まで作ってしまった! タイトルは「パグ・レボリューション89」。

 アップテンポで、パグ好きなら思わず「あるある!」と言ってしまいそうな、パグを知らなくても思わずクスッと笑ってしまうような、パグの魅力、そしてお父さん、お母さんのだいきちくん愛にあふれたナンバーだ。

キングスマンにM.I.B
そんで、スペースブラザーズ
アゴのせ 手ぬぐい ほっかむり
パグにはパグの道がある
誰が誰よりどうだとか
誰の仕事がどうだとか
一笑一蹴 ない鼻で
フガフガフガ 笑いとばせ
(中略)
パグ・レボリューション89
(歌詞より引用)
パグソング「パグ・レボリューション89」

 去年開催予定だった「パグフェス2020」は残念ながら新型コロナウィルスの感染拡大の影響で中止に追い込まれたが、実は新曲も作っていた。「次に開催するときに披露します」とお父さん。

「太く濃く生きてほしい」

 だいきちくんと暮らすことで、どんどん広がる世界。次に目指しているのは「パグ雑誌を作ること」だそう。

「しつけとかノウハウなどの情報はググればだいたい手に入る。ただ、イベント等でのパグとの遊びや、絵を描いたりグッズにしたり曲を作ったりといったパグでの遊びは、正解もないし、やってみなきゃわからない。こんなことできるんだ、楽しそうだなという、まさに『Pug&Peace』な世界観を、オンラインと、イベントや雑誌などリアルのメディアで広めていけたら」。お父さんの夢と野望は広がる。

 だいきちくんと過ごすかけがえのない日々。それが無限ではないこともお父さん、お母さんは知っている。「お留守番する時間、寝ている時間を差し引いたら、一緒に過ごせる時間は限られている。だから、太く濃く生きてほしいし、そのためにできることはなんでもやってあげたい」

 今日も、明日も、これからも。だいきちくんはちょっとどんくさく、ゆるゆると、愛する家族と周りに集う人たちに笑顔を広めていく。

パグ絵とパグ服のお店「Pug&Peace」
アニドネの投稿企画「STORY with PET」
ペットへの感謝や想いを綴る「STORY with PET」の第3弾。
今年は「コロナ禍のペットと私」をテーマにSTORYを募集しています。1投稿につき500円がアニドネから寄付されます(寄付目標50万円)。
ペットとあなたの素敵なお話に写真を添えて投稿ください。
詳細や投稿はこちらのページからどうぞ。

◆記事でご紹介しただいきちくんのお父さんが以前「STORY with PET」に投稿したストーリーはこちら
中津海麻子
フリーライター。「酒とワンコと男と女」をテーマに、ワインや日本酒や食、ペット事情、人物インタビューなど幅広く取材、執筆。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、「ワイン王国」「朝日新聞デジタル &w」「好書好日」などに寄稿。

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