野良のハチワレ子猫2匹、ついにとーさんの家の子に 名付け親はあの「猫師匠」

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット書籍をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、デリケートな元保護犬「福」と暮らしています。そんなとーさんは、ベランダに来ていた野良の子猫2匹を保護することを決めます。ついに家の中に入った2匹。さてその後、どうなったのでしょう。

(末尾に写真特集があります)

ケージに入った!

前回までのあらすじは、

・初冬のある日、保護犬と暮らすとーさんの家のベランダに野良の子猫が2匹やってきた。
・とーさんは保護する決心をして、リビングにおいしい餌とホットカーペットを置いておびき寄せた。
・まんまと2匹はリビングに入り込んだ

 ということで、このお話も1カ月間があいてしまい、どこから書いていいのやら忘れてしまったのですが、以上がざっくりこれまでの展開。3行で終わることを3カ月もかけてなにしとんねん、て話ですな。

ソファの下の子猫
ソファの下からのぞく、とも。

 さあ!ケージに2匹入ったぞ!!とりゃああああ(いきなり再開か)

 と、まずはベランダとつながるリビングの窓をぴしゃっと閉じました。(これが、また、その後の苦労につながるんだわ)

 ぴしゃっとやった瞬間、子猫たちはパニック―――!!!!!ケージから飛び出してリビングの中を右に左に走って飛んで大騒ぎ。

 いや、ケージの扉を閉めればいいのにって声が聞こえてそうなんだけど、構造的にとっても難しくてですね、そこでもたもたしてると、ベランダに逃げ出してしまいそうなので、まずは室内確保を優先したのでした。

食器棚の下に隠れる子猫2匹
食器棚の下でひっそりと身を寄せる「とも」と「もえ」

 もちろん、その後2匹は食器棚の下に潜り込んで引きこもり状態になったのですが、まあとにかく捕獲に成功!!!ついに2匹はとーさんの家の子に一応なったのです。

探偵のごとき愛犬「福」

 ふーーー、と一息つく間もなく、猫を保護したらやらなければいけないことを再確認。

 なにはなくとも病院で健康診断、そしてタイミングを見てメスなら避妊、オスなら去勢手術です。これはもう絶対しなければなりません。

 ところがですよ、猫たちはもう二度とリビングに置いたケージには入ってくれないし、リビングの中でどこかに隠れたまま。忍者のように姿をくらましてしまいました。

子猫のそばにいる犬
もえの至近距離で様子をうかがう福。この調子ならうまくいきそうな予感!

 もちろん、おなかもすけば、のども乾くから、そーーっとしておけば、恐る恐る家具の隙間から顔をのぞかせたりもするのだけれど、うちには先住の保護犬福という、これまたデリケートな娘がいるのですよ。

 見慣れぬ、いや嗅ぎなれぬ猫のにおいに、まるで探偵のようにくんくんくんくん。聞き込み捜査のごとくくまなく犯人を捜し続けるのですよ。これじゃあ、怖くていつまでたっても出てこないよね。

オスなの?メスなの?

 病院にいけないので、2匹がオスなのかメスなのかもわかりません。友達から「なんでわからないの?だってオスなら『たま』がみえるでしょ!?」と言われても、猫のたまたま見たことないからわからんのですよ……というか見えないし。

 とまあ、オスかメスかもわからず病院にも連れていけぬまま約1月。かろうじてとーさんや福の目を盗んでご飯は食べてるみたい。気まぐれにリビングを歩いてる姿も徐々に目撃するようになってきました。

 そろそろ名前もつけたいなあ……オスメスはわからないけれど……

爪研ぎにのってご満悦

猫師匠の正体は

 ということで、またしてもとーさんの知恵袋・猫師匠(前回前々回を参考)に相談しました。

 いや、もうこの際なのでこっそり猫師匠の正体を明かすと、猫5匹、犬1匹と暮らす姿から、いまや「ゆりごろう王国」の国王とも呼ばれる女優の石田ゆり子さんなのです。

 以前、こちらにも書きましたが、ゆり子さんは保護犬福ととーさんをつないでくれた運命の人。そこで贅沢にも、ゆり子師匠に「オスでもメスでもいけて、うちのハチワレにふさわしい名前ないでしょうか」と相談しました。

 すると、「巴はどうでしょう」と即答!!!

 なにこのスピード回答!!!

 巴は太鼓の模様にもなっている日本の伝統的な文様で勾玉のような形が組み合わさった図柄。もとは鞘を図案化したものらしいけれど、神社などでも用いられて魔除けの意味合いもあるとか。

じゃれ合う2匹の子猫
じゃれあう姿。「巴」の文様に見えません???

「2匹のハチワレが組み合わさったみたいに見えるでしょ。だから巴からとって、『とも』 
と『もえ』 これならオスでもメスでもぴったりだし、なによりも小林家に突然現れて魔除けになる、とっても縁起がいい名前じゃない?」

 と師匠。完璧すぎる。理由も響きもすべてが完璧じゃござらんか。

晴れてとーさんのうちの子に

 ということで、少し大きくてわんぱくな白耳を「とも」、小さくて目がくりっとかわいい絶対乙女じゃない??という黒耳を「もえ」と名付けました。もちろん「とも」「もえ」と呼んでもガン無視ですけどね。とも&もえ。ちょっとだけお笑いコンビっぽくもある。欧米化!なんでだろー、なんでだろー。

 えー、これ以上引っ張るのも気が引けるのでいろいろ端折りますが、気が付くとどうやら2匹がちょっとエッチな雰囲気になってきたので(表現!!!)、大慌てで友達から捕獲器を借りて、なんと家の中に捕獲器をしかけて捕獲。病院へ直行。予想通り「とも」は男の子、「もえ」は女の子でした。 

 2匹とも健康。晴れて正式にとーさんの家の子になったのでした!!

◆小林さんが発行人を務める月刊誌『天然生活』のサイトはこちら

【前の回】野良猫「くろ」「しろ」ぬくぬく作戦 とーさんのひそかな決意

(次回は8月15日に公開予定です)

小林 孝延
福井県出身。編集者。月刊誌『天然生活』創刊編集長、『ESSE』編集長などを歴任。2023年10月に著書『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(鳴風舎)を刊行

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この連載について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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