多頭飼育崩壊からぎりぎり救出された子猫 猫好きな家で幸せに

 多頭飼育崩壊を起こした老夫婦宅から、瀕死の状態だった生まれたばかりの子猫が保護された。子猫は猫好きな家族に引き取られ、幸せをつかんだ。

(末尾に写真特集があります)

 2016年4月、大阪府内の老夫婦宅で多頭飼育の崩壊がおきた。ボランティアが駆けつけると、家には猫が18匹いた。猫たちはガリガリにやせていて、飢えから凶暴化していたという。生まれたばかりの子猫たちもいた。

 老夫婦は子猫が産まれたことは知っていたが、不妊手術の必要性や正しい飼育環境について知識が乏しく、生まれたばかりの子猫の世話の仕方も分からず、どうすることもできなくなってしまったようだ。

 その時、保護された子猫の1匹が、のちの「友子ちゃん」だ。生後3日目。母猫からミルクももらえなかったらしく、すでに冷たくなりかけていたが、一命をとりとめた。

 保護した団体「しぎの子猫の保育園」は、どうぶつ基金の援助を受け、すべてに不妊手術をしてから猫の譲渡先を探した。

舌をぺろり
舌をぺろり

自分に顔の似た猫

 兵庫県に住む緒方さんは、すでに2匹の猫を飼っていた。2014年にブリーダーやペットショップから買った猫だ。3匹目を飼おうかどうか迷っていた。ただし、次に飼うなら保護猫と決めていたという。

 インスタグラムで「猫里親」と検索すると、譲渡先を募集している猫がたくさん紹介されていた。

「最初、いろんな猫の写真を母に見せても、今いる猫と相性が悪かったらかわいそうだとか、あまり乗り気ではなかったんです。でも、ある1枚の写真を母に見せたら、『この猫、あなたに似ているわ』という話になって。それが友子ちゃんでした。母がこの子のことを気にかけていたので、私もどんどん気になりだして、連絡したんです。友子の誕生日が、祖父の命日の翌日だったことにも運命を感じました」

 友子ちゃんを保護していた「しぎの子猫の保育園」の保護主宅に会いに行った。数人のスタッフと面談をして、2016年7月にトライアルに入り、1週間後に正式譲渡された。

お兄ちゃん猫ロディくん(右)と
お兄ちゃん猫ロディくん(右)と

お兄ちゃん猫ともすぐに仲良く

 友子ちゃんを迎えると、最初こそ2匹のお兄ちゃん猫たちは威嚇したが、すぐに受け入れてくれたという。子猫の友子ちゃんは怖いもの知らずで、自分から近寄ってじゃれていた。

「2匹のお兄ちゃん猫と友子は、すぐに仲良くなりましたが、なんでも上の子を一番にしないとすねてしまうので、猫の気持ちを考えて、片手に子猫を抱いて、空いている手でお兄ちゃんのこともなでるようにしていました」

 お兄ちゃん猫たちは、友子ちゃんが、してはいけない所で爪とぎをすると、“そこはだめ”と教育するなど、さっそくお兄ちゃんっぷりを発揮。当の友子ちゃんは元気にすくすくと育っている。

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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