美しい日本の風景と、猫と、人と 岩合さん写真集「自由ネコ」

津軽のぺー(右)と娘のパンダ 「自由ネコ」より(C)Mitsuaki Iwago
津軽のぺー(右)と娘のパンダ 「自由ネコ」より(C)Mitsuaki Iwago

 美しい日本の風景と、そこに暮らす自由な猫たち。動物写真家・岩合光昭さんが撮影した日本各地の猫たちの姿を収めた写真集「自由ネコ」(辰巳出版)が発売された。A4サイズの大判で、その場にいるような迫力を楽しめる。

(末尾に写真特集があります)

 青空の下で毛繕いする猫。ザラザラな舌の様子まで見える。そんな表紙をめくると、福岡・相島、千葉、会津、津軽、能登、鎌倉、山口・平郡島、京都……と、日本各地に住む猫たちが登場する。可愛くて、時にりりしい姿が、風景と人々の生活に溶けこんでいる。

  タイトルの「自由ネコ」は、「GATTO LIBERO」というイタリア語の直訳だ。岩合さんはかつてイタリア取材でこの言葉を知り、以来、好んで野良ネコを自由ネコと呼ぶようになったのだという。

   本書を企画した辰巳出版の斎藤実さんがコンセプトや見どころについて話す。

「雑誌『猫びより』の連載を再編集した写真集です。猫の生き物としての魅力と、撮影地の風土や空気が伝わることを大前提にしました。地域ごとに見せる構成にしたので、土地に根ざして生きている猫の様子がより強調されています。岩合さんの写真は、サイズが大きいほど楽しめると思います」

   猫の毛の質感や目の美しさ、体つき、猫がいる風景。大きなサイズだからこそ隅々まで細かく見えて、あたかも猫とその場に一緒にいるような感覚が味わえる。

鎌倉のキイロちゃんと相棒の漁師さん「自由ネコ」より(C)Mitsuaki Iwago
鎌倉のキイロちゃんと相棒の漁師さん「自由ネコ」より(C)Mitsuaki Iwago

   人と猫との関わりを写し取った作品も多い。たとえば、鎌倉の海岸に住む猫は相棒の漁師に身を委ね、会津ではラーメン屋の女主人と散歩し、京都では芸妓が子猫にミルクをあげるシーンが登場する。それらを見つめる岩合さんの写真はあくまでやさしい。

   それぞれの撮影地ごとに、撮影時の印象や逸話も添えられている。福岡・相島のページには、こんな文章が添えられている。

「島のネコは人懐こい。それは島のヒトたちが優しいからだ。そしてここでは。ネコがネコ本来の姿、野生を見せている。やはりそれも、ネコのありのままを受け入れる、島のヒトの優しさのおかげなのだと思う」

『自由ネコ』
写真・文:岩合光昭
発行:辰巳出版
体裁:A4版/96ページ/オールカラー
定価:1800円+税
藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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