病気が残っている野良猫の子 あえて引き取った愛猫家

 病気が残っている野良猫の子どもをあえて引き取った愛猫家がいる。譲渡希望が少ないだろうということが理由だった。その暮らしぶりを聞いた。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府内に野良猫に餌や水を与えて、半ば飼っている人がいた。不妊手術をしなかったため、子猫が生まれてしまった。2011年暮れ、生後間もない子猫たちを見つけたボランティアが、保護団体「ARK」(大阪府)に連れてきたという。当時、子猫たちは皮膚炎になり、お腹には回虫がいて、皮膚にはカビも生え、生きているのが不思議なくらいな状態だったという。

美人だって言われます
美人だって言われます

すり寄ってアピールした子猫

 大阪府に住む野尻さんは、先住猫に1匹で留守番をさせるのはかわいそうだと、2匹目の猫を探していた。

「ペットショップで動物を買う人がいるから、悪徳なブリーダーが商売をする悪循環が生まれる。猫を飼うなら、保護猫をもらおうと思ったんです」

 ネットでARKを見つけて出かけた。20匹ほどいた子猫の中で一番すり寄ってきた子猫がアイコちゃんだった。

 ARKで治療を受けていたので、健康状態はある程度改善していたが、まだ病気が残っていた。たぶん譲渡希望は少ないだろうと、あえてその猫を引き取ることにしたという。2012年9月、1歳になるかならないかの頃に、アイコちゃんは野尻家にやってきた。

視神経の病気はあるけれど

 家に来た当日、先住猫は、シャアシャアといって新入りを威嚇した。アイコちゃんも怖くてケージから出てこられない状態だったという。

 初日はひとまずケージに毛布をかけると、アイコちゃんは眠りについた。ただ1日目は排泄をせず、2日間餌を食べなかったという。辛抱強く、少しずつならしていった。

 視神経の病気があり、壁伝いにしか歩けないが、今ではそんなことも感じさせないほど、のびのびと暮らしている。

「アイコはおっとりした性格で、ごはんもゆっくり食べるんです。少し臆病なんですが、脱走しないので安心して見ていられます」

 野尻家ではさらにもう1匹の保護猫を迎え、互いにテリトリーを尊重しながら暮らしている。猫が横にいてくれるだけで癒やされるという。

<アンクスの出身団体>
アニマル・レフュージ関西(ARK)
さまざまな理由で保護した犬や猫の心身のケア、社会化トレーニング、里親探しなどを行っています。
住所:〒563-0131 大阪府豊能郡能勢町野間大原595 アニマルレフュージ関西
HP:http://www.arkbark.net/
営業時間:10:00~16:00
Tel:072-737-0712/Fax:072-737-1886
E-mail: ark@arkbark.net

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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