猫はこたつ大好き、でも注意も必要 では「猫用こたつ」は?

  日本の冬の原風景といえば、こたつに猫。こたつで眠る猫はとても幸せそうです。でも、洋風の家屋が増えて、こたつのある家庭は減ったのでは……。そんな中、猫用の小さなこたつが人気なのだとか。なぜ猫はこたつが好きなのか、こたつに入れる時の注意は、さらに猫は猫用こたつを喜ぶのか。調べてみました。

(末尾に写真特集があります)

「こたつや段ボールの中、テーブルの下などは、本来、猫が好きな場所なんです」

  そう話すのは、猫の生態に詳しい農学博士の大石孝雄さんだ。

  かつて自然界で暮らしていた猫は、狩りの名人。暗闇の中に身を潜めて、小動物など獲物を捕らえる。逆に天敵には見つからないように隠れる。イエネコ(ペットの猫)にも、そんな野生の本能が残っているため、「常に隠れるところ」を探している。だから“狭くて暗い空間”は心安らぐ場所なのだという。

  さらに、猫は寒がりで、ちょっとした気温差にも敏感だ。

「猫の体温は37度後半から39度程度で、人間より少し高めです。猫の先祖は砂漠地帯の暖かいところの出身で、寒さが苦手といわれます。日本の和猫のような短毛種は寒がりが多いですね。冷暖房が完備された室内環境に慣れてしまうと、長毛であっても寒がりになるのかもしれません」

 狭くて、暗くて、暖かなこたつは、猫にとってまさに3拍子そろった快適な空間なのだ。姿が見えないと思ったら、こたつに潜り込んでいた、という“あるある”もうなずける。

そろそろ交代してよ
そろそろ交代してよ

猫にこたつで注意すべきことは?

  だが、人間用のこたつに猫が入る時は、気をつけるべきこともありそうだ。猫の専門病院「東京猫医療センター」の服部幸院長はこう話す。

「こたつは局所的に熱くなる器具なので、単純なやけどや、熱中症、低温やけどが心配です。うちの猫はハロゲンヒーターでヒゲを焦がしたことがあるのですが、猫は少し熱さに鈍感な面があるように感じます。長くこたつにいる時は、外に出したり開けたりして注意してほしいです。子猫や老猫など体温調節が難しい年齢の場合は、特に気をつけてください」

 低温やけどは、触っても熱いと感じないような低温の熱源に長時間触れることで起きる熱傷で、水ぶくれができたり、深部にまで熱傷が及んだりすることもあるという。

  心臓病や呼吸器の病気を持っている場合も、体が熱くなると病状の悪化につながることがあるので、こたつを利用する際は気をつけたほうがいいそうだ。

  そもそも厳寒地でない限り、布団に覆われたこたつの中は、体温もあって暖かい。

「猫が中にすっぽり入った時は、スイッチを切ってもいいのではないかと個人的には思います。また暖房器具に限らず、すべての電化製品にいえることですが、コードをかじらないように注意したほうがいいですね」

めくったらこの通り、すやすや
めくったらこの通り、すやすや

ほんのり暖か「猫用こたつ」

  最近ではそんな猫の需要を見込んで、「ペット用」「猫用」をうたった小型のこたつが、ペット用品店やネットショップで販売されている。

  ペット用品の総合メーカー「ドギーマンハヤシ」は、2000年に世界初というペット用こたつを発売。改良を重ね、現在は「遠赤外線 ペットの夢こたつ」として販売している。

  このこたつは、幅45センチ×奥行き33センチ×高さ30センチのテーブルに、専用布団をかけて使うもの。発熱体は電熱線で、放射熱で暖め、直接当たらないようにプラスチック製の網(カバー)で覆ってある。設定されている中心部の最高温度は31度とかなり低めだ。

  取扱説明書には「おだやかなぬくもりがあれば、故障ではありません」とさえ書かれている。

「熱が直接猫に当たらないように、保護網は凹凸に突起した設計になっています。赤外線ランプを使っていないので、ぺットの目に優しく、人用こたつに比べて電気代があまりかかりません。こたつの中だけでなく、テーブルの上も熱が伝わるため上に猫が乗ることもできます」(ドギーマンハヤシ・営業企画グループ)

  また、かみつき防止にコードは金属の管で覆われ、コンセント部分もいたずらしにくいようにL字型にしてある。

  毎年数量限定で発売しており、完売するという。購入した飼い主からは「(猫が)暗いのが好きでこたつの中を好んでいる」「ペット専用だと、人が一緒に使って、(猫を)踏んだりすることがないので安心」という声があるという。

  ペットフードやペット用品を手がける「マルカン」も、2016年からペット用の「あったかこたつ」を発売した。

  テーブル本体は幅44.5センチ×奥行34センチ×高さ30センチで、天板はなく、専用のかけ布団をかけて使う。

「ペットが出入りしやすいように布団にワイヤーが入っていて、コードに中間スイッチもついています。テーブルの中に金属プレートが入っており、これが発熱することで、こたつが暖まります。発熱の入切を自動で制御し温度調節しております。お客様から『猫が暖かく過ごせるうえ、インスタ映えする』という声をいただいています」(マルカン・マーケテイング室)

  いずれも猫の健康に配慮はされているが、温度が上がり過ぎないよう、ホットカーペットや床暖房など他の暖房器具と併用しないことが大事。飼い主が外出するときは、念のため、電源プラグは抜いておいたほうがよさそうだ。

専用のこたつに入る2匹
専用のこたつに入る2匹

長寿猫にはこたつの記憶?

  筆者も15歳と1歳の猫2匹と同居しており、今年はじめて「猫用こたつ」を買って試してみた。2匹は最初のうちは“なんだ?”と周りをうろついていたが、しばらくすると、年長の猫が中に入って丸くなった。その昔、家にあった人間用こたつに入った経験を思い出したのだろうか。

 年長の猫が出た後に、若い猫も真似るように、布団の中に頭を入れた。

 こうして2匹がこたつの醍醐味を知ると、特等席をめぐって争奪戦に発展した。結局、2台目を買うことに。2匹はそれぞれ専用のこたつで、暖かな冬を迎えることになった。

  なお、「ペットこたつ」は、猫だけでなく、犬も使える。昨今の室内飼いの小型犬は“寒がり”も多いから、“犬もこたつで丸くなる”時代がくるかもしれない。

藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は17歳の黒猫イヌオと、3歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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