福士蒼汰さん、猫と共演 しがみつかれ「愛される理由わかった」

 この秋注目の猫映画『旅猫リポート』が10月26日に全国公開される。元野良猫「ナナ」の飼い主「悟」を演じる主演の福士蒼汰さんに、猫の魅力や撮影秘話などについて単独インタビューした。

(末尾に写真特集があります)

――有川浩さん原作の『旅猫リポート』は、ある事情のために、一人暮らしの男性が5年間幸せに暮らした愛猫と“新たな飼い主”を探して旅をするストーリーだ。福士さんは芝居として猫と初めて共演した。

Q:ナナと最初に会った時の印象はどうでしたか?

 自分は猫を飼ったことがなくて、どう接していいかわからないので、最初はドキドキしました。でも触ってみると、フワフワで気持ちよくて、好きになりました(笑)。子どもの頃にトイプードル犬を飼っていたんですが、ナナは毛がくりくりしているので、毛の感触は少し似ていて。ただ、中身は“真逆”なのでびっくりしました。

©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社
©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社

Q:犬と猫は、どんなところが違いましたか?

 犬というのは、“かまって、かまって~!”と自分から言ってくることが多いと思うんです。でも猫は、どちらかというと、自分のタイミングで寄り添ってきたり、甘えてきたりするんです。こちらに来ない時とのギャップというか、“ツンデレ”なところが大きな違いです。あと、猫は舌がざらざらで(笑)

Q:撮影中に「ナナ」と接して戸惑ったことはありましたか?

 ナナは基本ツンデレというか、ツンツンなので(笑)。抱っこ嫌いで、演技中も離せーというふうにあばれたり。でも、トレーナーさんがナナに接しているところを見たり、教わったりして、猫のことがだんだんとわかってきたんです。自分のほうがナナに慣れていった感じかもしれません。それでだんだんと息が合ってきました。

笑顔で映画や猫について話す福士蒼汰さん (上村雄高 撮影)
笑顔で映画や猫について話す福士蒼汰さん (上村雄高 撮影)

Q:実際にナナとの間に絆が生まれたのではないでしょうか。それを象徴するようなシーンはありますか?

 はい、ツンデレの“デレ”が出た瞬間がありました。大きなフェリーに乗るシーンがあるのですが、“もう絶対に離れないぞ”という感じで、爪で僕の服をギューッとつかんでしがみついてきたんです。「うわっ、かわいいな」と思いました。映画を通して自分自身、猫に対する気持ちはかなり変わっていきました。猫がペットとして人気があり、家族として愛される理由がわかる気がしました。

Q:いつか猫を飼うことがあったら、どんな猫がいいですか?

 うーん、自分はナナが好きだから、同じ種類(セルカークレックス)がいいなと思います。

Q:どんな風に映画を観てほしいですか?

 富士山や、菜の花畑。そうした旅先の景色を楽しんでほしいですし、この映画の大きなテーマは“家族”なので、猫ちゃん、ワンちゃんなど、ペットを改めて、あるいは新たに愛するきっかけになってもらえたら。さらにいえば、人間と人間のつながりの話でもあるので、人生の中で大事な人とどう関わっていくか、それを見つめ直す機会になれば嬉しいです。

――インタビュー取材をしたのは9月。福士さんは同席したナナを見つめながら、「かわいいね」と何度も口にした。

「じつは明日、『ナナ』の誕生日なんです。おめでとう!」

 優しいまなざしで、映画のパートナーと見つめ合った。

(取材協力:ZOO動物プロ)

『旅猫リポート』
公開:10月26日(金)
出演:福士蒼汰、高畑充希(声の出演)、ナナ、竹内結子ほか
監督:三木康一郎 
原作:有川浩『旅猫リポート』(講談社)
脚本:有川浩、平松恵美子
音楽:コトリンゴ

藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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