災害時のペット同行避難 食品備蓄は7日分、しつけも大切

 大規模災害が起きたとき、ペットの命を守れるのは飼い主だけです。ペットと一緒に生き延びる――。そのためには、まず「同行避難」が原則です。避難所での生活など「先のこと」まで考えた、日ごろの準備とは。

 東日本大震災では一部のペットたちが自宅に取り残され、悲劇に見舞われた。このため環境省は2013年、大規模災害の際には「同行避難することが合理的」とする「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をまとめた。

 熊本地震でも、犬や猫を連れて一緒に避難する被災者の姿が多く見られた。環境省の則久(のりひさ)雅司・動物愛護管理室長は「(熊本地震の)被災地の状況を確認したが、同行避難の原則は行政にも飼い主の方にも浸透していたようだ」と話す。

 だが、ただペットを連れて避難すればいいわけではない。

 日本動物福祉協会の調査員で獣医師の町屋奈(ない)さんは「人命が最優先のなかで、ペットは二の次になりがち。まずは備蓄が大切です」。薬、療法食やおやつを含むフード、水については、それぞれ7日分を備えよう。リードや食器、ワクチン接種状況などがわかる書類、トイレ用品などはひとまとめに。万が一ペットとはぐれてしまった場合に備え、ペットと一緒に写っている写真も用意しておこう。

 町屋さんは「避難所には動物が嫌いな人、動物アレルギーの人もいる。犬や猫を落ち着かせておく必要がある」と、しつけの大切さを説く。犬も猫も、ケージやキャリーバッグに入れるようにしておく。犬は基本的なしつけはもちろん、無駄ぼえやかみ癖などもなおしておきたい。猫は、胴輪や首輪に慣れさせておくと避難先での居場所の選択肢が広がる。

 避難先では、同居できないケースも想定される。同行避難についての提案活動などを行うNPO法人「ANICE(アナイス)」の平井潤子代表はこう話す。「避難所の状況に合わせて、人と動物の居場所をわける『すみ分け』を検討しましょう」

 すみ分けは飼い主同士で話し合うとスムーズに進みやすい。同行避難者だけのスペースを別に設ける▽動物が安全に過ごせる場所を屋外に作る▽動物を車に置くなどの選択肢を考え、避難所の運営者側に提案しよう。

 ペットの心のケアも欠かせない。動物には何が起きているのか理解ができず、その分だけ不安は大きい。日本獣医生命科学大の水越美奈准教授によると東日本大震災の際には、余震への恐怖心から、マンションなどから飛び降りようとする猫の報告も少なからずあったという。

「飼い主が普段と違うことをするとペットは不安になる。まずは飼い主が平常心でいることが大切。大きな声でしかったり、命令したりするのも避けましょう。そのうえで、なるべくそばにいて、なでたり抱きしめたり、お気に入りのスキンシップをとってあげてください」

(太田匡彦)


<「飼い主の会」設立を>
 環境省はガイドラインで、避難所ではペットの飼い主同士で「飼い主の会」を設立するようすすめる。互いに協力し、場合によっては自分たちでルールを作りながら、適切な飼育管理をしていくためだ。避難所での苦情やトラブルを減らす効果があるという。
<一時預かり先を探す>
 避難生活の長期化が予想されたり、問題行動がおさまらなかったりする場合、ペットの一時預かり先を探すことも大切。普段から、遠くに住む親戚などに相談をしておくと安心だ。ただ、「動物たちのことを考えると、一時預かりが長期化する時など場合によっては、新たな飼い主を探してあげる決断も必要になる」(ANICEの平井潤子さん)。
<あの音が鳴ったら>
 緊急地震速報はペットも不安にさせる。東日本大震災後には、その音を聞いただけで落ち着かなくなる犬猫がいた。日本獣医生命科学大の水越美奈准教授は「緊急地震速報が鳴ったら、すぐにおやつなどをあげるといい」と話す。鳴るといいことが起きるという「関連づけ」ができ、不安が和らぐこともある。
朝日新聞
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