入院の子、癒やす犬を 長男亡くした父、普及へ寄付訴え

入院中の子どもを癒やす犬がいる病院を増やしたい――。難病でほとんど外出できずに5歳で亡くなった男児の父親が、犬が常駐する静岡市と横浜市の病院間約160キロを18日から3日間歩き、犬を育てるNPOへの寄付を呼びかける。
父親は、神奈川県川崎市中原区の会社員中畑貴行さん(41)。長男の遼馬(はるま)君は、白血球の成分の一種が生まれつきほとんどなく、感染症を繰り返す難病だった。
2008年8月、神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)に入院。11年11月に遼馬君が亡くなった後、貴行さんは犬の「ベイリー」がセンターにきたのを知った。
同センターによると、ベイリーはつらい検査やリハビリに付き添ったり、死への恐怖で押しつぶされそうな子どもの心を支えたりする。「ファシリティドッグ」と呼ばれる。感染症の危険がある子はガラス越しにふれ合うこともできる。検査に行きたがらない子どもが「ベイリーとなら行く」と言ったり、難病の子が笑顔を取り戻したりした例もあるという。
「遼馬が入院していたときに、いればなあ」。貴行さんは、思った。3年を超えた入院生活の間、遼馬君は感染症予防のため、ほとんど病棟を出られなかった。犬とふれ合うだけで、どれだけ気持ちが安らいだだろうか――。
同センターによると、このほかに全国の子ども病院でこうした犬が常駐するのは「ヨギ」がいる静岡県立こども病院(静岡市葵区)だけだ。「もっと全国に広げたい」。貴行さんは犬を育てたNPO「シャイン・オン!キッズ」(東京)への寄付を募ろうと考えた。
18日午前6時に同病院を出発し、主に国道1号沿いを歩く。20日夕方に同センターに到着する予定。妻園子さん(38)も車で伴走する。ベイリーとヨギも出発後1時間ほど一緒に歩く。貴行さんは「我々と同じような境遇の方々のためにも、最後まで歩きたい」。
寄付はシャイン・オン!キッズの口座(三菱東京UFJ銀行渋谷支店 普通 3869074 トクテイヒエイリカツドウホウジン シヤインオンキツズ)へ。備考欄に「NT1018」と記入する。問い合わせは中畑さんのメール(nakahatatakayuki@gmail.com)。(佐藤陽)
(朝日新聞2014年10月15日掲載)
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